卒業制作優秀作品集2015
生産デザイン学科プロダクトデザイン専攻
杉内 真美
色の反射を用いた衣服の提案
技法・素材:ポリエステル布、アクリル絵具
色と人の関係における色の反射を用いた新しい衣服の可能性を研究しました。色と体感温度との間には密接な関係があり、体感温度の変化については、視角からはもちろんのこと、皮膚自体が色を感じることからも同じような感覚が得られるとの調査結果もあります。この色の持つ効果を利用し、体温の変化を衣服内部の色変化によって操作し、快適な環境をつくることを考えています。色反射による表現を探していくことで、衣服の可能性を拡げるものとなればと考えています。
担当教員によるコメント
杉内さんの提案は、色が人に与える心理的効果、とりわけ体感温度に対する効果に着目し、衣服に取り込んだ提案である。古来から日本の着物文化の中には、赤の上に白を重ね着することによる色の透けでピンク色を表現したり、肌の上の層に赤を着ることにより、色の反射で肌に赤みを出したりと、多様な色効果を取り込む土壌がある。リサーチによって得られた視点を現代的に活かし、杉内さんの提案では二層のレイヤー構造を用いることで色の透かし効果をつくっている。着用している人の動きに応じて、身体と衣服との密着度が変わるため、透かしの色の強さが変化するようにしている。人と衣服と温度との関係が、魅力的に視覚化されることで、新たなシーン、価値が生まれるだろう。
准教授・濱田 芳治