BORO(2014,Japan)

溝部 みすず

担当教員によるコメント

布を慈しみ手仕事を愛する作者の気持ちが深くこめられた作品である。また現代の消費社会に疑問を投げかける強いメッセージも伝わってくる。寒さの厳しい東北の地で発展した刺し子や裂織など、布と糸という材料が大変貴重だった時代に生み出された技術から発想を得て、毎日大量に捨てられる衣服をユニークな足袋と手袋に蘇らせた。衣服が消耗品となった現代において我々が忘れがちな素材の価値や手仕事の美しさを改めて気付かせてくれる作品となった。キルトとカットという技術だけでこれほどにも様々な表情を見せる。この技術が単なる装飾に終わる事なく機能的なデザインと結びつけば、更に意味の有る現代版ぼろ布として歩き出すだろう。今後の展開に大きな可能性を感じる作品である。

准教授・吉川 真由