東京土産

西村 里菜

担当教員によるコメント

西村さんは東京土産として、何気ない街の風景を持ち帰って貰いたいと考え、それらを風呂敷、手拭い、巾着袋など、日本の伝統的なプロダクトやガマ口に落とし込んだ。軽い思いつきのようだが、検討が繰り返された。その過程で、思い出深いデザインがある。彼女がメールに添付してきた「銀座ガード下の風景」。当初、なんの変哲もない夕暮れの帰宅電車。車窓から漏れる暖かい灯が楽しそうで良いと思った。ところが、次のメールではその電車が嬉しそうに小躍りしている表現に変わっていた。私の中で「ガッタン、ゴットン」という軽い響きが頭をよぎった。私はとても嬉しくなり、直ぐにその感激を伝えた。僅かな差異であるが、それを乗り越えるのにいつも苦労する自分に重ね合わせたからだ。

教授・髙橋 正