so me ga mi

高橋 典子

担当教員によるコメント

紙なのか、絵なのか、版画なのか、染め物なのか。ジャンルを特定しがたいが、なんとも美しい作品である。素材はバナナ繊維を中心に、楮、木材、古紙などをパルプ化したもので、技法は紙漉の方法を用いている。25点制作した作品ひとつひとつが異なる構造をもち、独自の方法で施された軽快な模様と落ちついた色彩が素材とよく調和している。また、蝋の浸透により紙を透明な質感に変化させているところも高橋典子さんの作品の大きな特徴である。制作の喜びを感じながら作られていることが作品を見る側にも伝わってくる大変気持ちのよい優れた紙作品である。無理に既成の形式に当てはめようとせずに、ゆっくり時間をかけて未だ見ぬ世界と出会う可能性を探り続けていってもらいたい。

教授・柏木 弘