卒業制作優秀作品集2016
芸術学科

前原 理沙子

戦争画と藤田嗣治ー《アッツ島玉砕》を巡って

藤田嗣治が描いた《アッツ島玉砕》。戦争画の来由や画家がその時何を思っていたのか、また《アッツ島玉砕》とはどういった作品であったのか。そして《アッツ島玉砕》を描いた藤田はどのような人物で、なぜ戦争画を描くに至ったのか。戦争画を描くまでの藤田の人生、軍医であった父の存在、過去に描いた壁画などの事例を通して、藤田についての思考を重ねる。また現代における戦争画の影響、その認識やその問題点にも触れる。

担当教員によるコメント

前原理沙子さんの卒業論文「戦争画と藤田嗣治――<アッツ島玉砕>を巡って」は、藤田嗣治の芸術表現の一つの到達点として、その戦争画について論じたものである。「戦争」を主題とし、しかも「戦争」を肯定的に描いた絵画ということで、これまではタブー視されていたが、近年ようやくその代表作を鑑賞することが可能になった。前原さんは、まずその画面の迫力に打たれ、「戦争」が藤田をどのように魅了し、その本質を藤田がどのように表現し得たのか、他の戦争画との比較、さらには藤田自身の作品世界全体のなかから、その核心を抽出したものである。大変に難しい主題に挑み、一面的な断罪でもなく、現在の自分の立ち位置を含め、独自の考察が展開されており、非常に優れた論考である。

准教授・安藤 礼二

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