卒業制作優秀作品集2016
芸術学科

韓 松鈴

現代中国の「山寨」文化
〜模倣をめぐる文化論的考察〜

2008年に中国で流行した「山寨(中国人が中国本土で製造したコピー商品)」という言葉は、その後政治や文化、経済などの諸分野に広がり、山寨文化として形成された。本論では山寨文化の中でも複製画を大量に生産する大芬(ダーフェン)村、欧米の文化遺産や建物をそのまま中国に建設する山寨建築、主流の検索サイトやSNSの中の山寨を例に出しながら、「山寨」と「山寨されたもの」の関係や影響について考察している。

担当教員によるコメント

韓松鈴さんの「現代中国の「山寨」文化〜模倣をめぐる文化論的考察〜」は、山寨携帯に始まるコピー商品「山寨」(さんさい、中国語読みシャンザイ)をめぐるリサーチ的論考です。模倣が溢れる現代中国社会を象徴する現象「山寨」を、携帯やタブレット端末などの商品から複製画(800人の画家が制作に励み世界的シェアを誇る大汾油画村)、山寨建築、中国版google、twitter、youtube等の検索・投稿サイトまでを一つの文化として考察しています。韓さんは「山寨」に所得差が大きい社会のノーブランド低価格商品という側面や、グローバリズムの不公平感、国家によるネット検閲などへの抵抗も見出します。中国語資料の読解も含め、現代中国文化への洞察に満ちた優れた論考です。

教授・西嶋 憲生

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