un dimly

木村 友梨香

担当教員によるコメント

水の中で揺れる色鉛筆の削りカス、家の近くで梅雨に咲く紫陽花、とてつもなく硬い泥だんごを作り続けた記憶…という、強く印象に残る幼少期の記憶を素材に指輪を六つデザインした。さらに実用品としてのイメージを映像によるインスタレーションで伝え、制作過程を特殊装丁の冊子にまとめた。個人的な記憶を出発点とする制作が、自己満足的なものになるか、表現として結実するかどうかは、制作者本人の記憶の質に関係すると同時に「曖昧なものに形を与える」過程を信じて制作を続けることができるかどうかにかかっている。本作品は、そうした真摯で孤独な作業の中から独自の制作方法を編み出し、ジャンルにとらわれない表現を生み出すことに至っている。この経験が今後の人生においても力を与えてくれるといいと思う。

非常勤講師・千原 航

  • 作品名
    un dimly
  • 作家名
    木村 友梨香
  • 作品情報
    指輪:樹脂/冊子:紙、糸
    インスタレーション:H900×W900×D600mm 木材、プロジェクター、アクリル板、映像