oldman youngman

加賀 遼也

作者によるコメント

生まれた時、死ぬ時、人は誰かの世話になる。それらの責任は、否応なく身近な肉親にのしかかる。人の生は図太く地面に根をはり、人は死へあっけなく散りゆき地面を暗く覆っていく。そんな生と死のテーマを、ある祖父と孫の関係を描いた物語で表現した。虚像を利用したアニメーション表現の中で、血肉の宿った温もりのある作品にするため、「もの感」の強い切り紙のコマ撮りを技法として用いた。

担当教員によるコメント

頭や胴体や手足などバラバラに作られたパーツを動作に合わせて少しずつ動かしたり置き換えたりして撮影する切り紙アニメーション。この手法でスムースな動きを再現するためには、無数のパーツと膨大な撮影時間を要する。霧の中の木立を進んで行くオープニングカット、赤ちゃんだった孫が段階的に青年に成長する様を横移動のワンカットで捉えたショットなどは、実に流麗で絶対的なテクニックに支えられている。しかし作者が見せたいのはテクニックではない。誰もが迎える生と死、それを取り巻く無常感と折り重なる想い、若さと老いの対比の先に見える人生の普遍的な連続性であろう。本作の重要なモチーフである音楽も本人による作曲・演奏で10分を越える完璧な作品世界を構築している。

教授・野村 辰寿