花曲線

計良 風太

作者によるコメント

バラの花をセンシングして、その数値をバラ曲線の方程式を使ったプログラムを介し、花のようなグラフィックを作る研究制作です。元気な状態のバラをセンシングして得た値では、線のストロークがはっきりとした赤いグラフィックになり、枯れた状態のバラをセンシングして得た値ではぼんやりした緑色のグラフィックになります。バラの生死をバラ曲線の方程式を利用したプログラムで、花のようなグラフィックにビジュアライズしました。

担当教員によるコメント

本作は、データヴィジュアライゼーション(情報可視化)を目的とすることから始まった。技法ありきなので、作者本人は本当のところ何をどう可視化しても良かったのだと思う。選んだのはバラ曲線のアルゴリズム。その名前から対象をバラの花とし、バラの生体反応(抵抗値)をセンシングして、バラ曲線の方程式を用いたプログラミングで花びらのような図形を描き出す作品となった。最初は生花をセンシングする予定だったが、季節が合わず切り花を使うことになった。切り花は十日もすれば枯れる。花はゆっくり枯れていくように見えるが、実は人間と同じように突然事切れて命が絶える。この作品にはバラの死がくっきりと刻まれた。データをヴィジュアライズすることによって美しいだけではない感動が生まれたことに、作者が一番驚いているだろう。

教授・永原 康史