つきぢの日常 自分の経験を表現して伝えるエッセイ漫画

築地 礼奈

作者によるコメント

私は「日常」の出来事を、だれかによく話します。話すことで、自分だけの「日常」経験に、だれかの異なる見方を得ます。でも、嫌なことも楽しかったことも、何気ない「日常」の経験は忘れやすいです。「日常」を残す方法を考えた時、「絵」と「言葉」にすればいいと気づき、印象的な出来事を一話ごとエッセイ漫画にして、その都度ウェブ公開しました。公開することで、他者と共有でき、自分とは異なる見方を得ました。また展示では「日常を描く空間」を表現しました。壁のラフ案や机上の清書ファイルを鑑賞し、机上で描く機会を作ることで、鑑賞者の「日常」についても改めて考えてほしいと思いました。

担当教員によるコメント

作者の日常の機微をエッセー漫画で描いた作品。楽しいこと、つまらないこと、見過ごすようなこと、はたまた驚くようなことなど、日常の出来事がこれでもかというぐらいにたくさん描き出されている。枚数が多いことによって、全体を通じて読み応えのある作品に仕上がっている。本作を読み進めると、作者の生活にしっかりと目を向ける視点の豊かさと鋭さによって、読者は日々の暮らしの中で、忙しさからついつい見過ごしてしまうことが多いことに気づかされる。さらに、展覧会の構成もよく、作者の日常から溢れ出た作品イメージを象徴していながらも、卓上の作品をしっかり読める点などぬかりなく構成されている。

准教授・矢野 英樹