孤独のレプリカ
堀口 慎吾
担当教員によるコメント
高さ5メートルに及ぶ作品は二画面に分割され、錆色に腐食した本物の梯子が上下を繋ぐ。それはまた、異次元を繋ぎ止める楔のようでもあり、観る者はその形状を手掛かりに、作者の意図する想像世界へ一気に引き込まれることになる。全面を銀箔で押し且つ硫黄で焼いた絵肌からは、遥か太古の記憶が幾重にも甦り、風化した梯子と呼応して、この作品にえも言われぬ空虚感を与えている。同時に人間存在の儚さを、そこはかとなく暗示しているのではないか。時間、記憶といった人智の地層に堀口は真正面から対峙し、確かな存在の在り処を探し求めている。
教授・武田 州左
- 作品名孤独のレプリカ
- 作家名堀口 慎吾
- 作品情報技法・素材・作品種別:膠、顔料、リンシードオイル、銀箔、鉄、寒冷紗
サイズ:H4600×W2910mm - 学科・専攻・コース
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