一族の呪い, 与えられた役割

竹村 理子

担当教員によるコメント

竹村の卒業制作は、合わせ鏡のような無限空間を描いた絵画と、舞台の幕の向こうに人形の頭部が浮き上がる2点だ。どちらの作品もラフに素っ気なく描かれているが、見る人に、虚実が入り乱れ閉塞的で輪廻の迷宮に入り込んだような不安感を与えることに成功している。合わせ鏡の作品は「自分」という存在の不確かさを、幕の作品は運命、宿命といった自分ではどうしようもない大きな力の存在を表していると解釈できるが、分析的に見過ぎるのは野暮かもしれない。多くの解釈を生む謎の多い作品のほうが、薄っぺらなコンセプトのものより魅力的だ。本人にしかわからない(本人にもわからない)謎を秘めて、竹村の物語は多くの解釈と共に見る人を魅了する。

教授・菊地 武彦

  • 作品名
    一族の呪い, 与えられた役割
  • 作家名
    竹村 理子
  • 作品情報
    『一族の呪い』
    素材:油彩、キャンバス
    サイズ:H1303×W1620mm

    『与えられた役割』
    素材:油彩、キャンバス
    サイズ:H1940×W2600mm
  • 学科・専攻・コース