人, 人だった

平手 ちひろ

担当教員によるコメント

色調、構成、空間がバランスよくできている秀作であり、高い評価を得た。正直、卒業制作でのこのようなハイレベルの作品に驚きを感じている。衣服は人の動きに対応して様々なフォルムを作り出す。それらを省略、統合、展開させ、絵画空間として成立させている。通常は試行錯誤の痕跡が残り、それが作者の迷いの証拠として見えるものである。しかし平手の仕事にはそれがない。まるで一方向から淀みなく仕上がっていったように見える。何か確信みたいなものがあったのだろう。しかし今後のことを考えると、それを手放しで褒めるわけにはいかない。秀作には違いないが熱が足りない。描きざまの汚れがなく淡泊である。画面に自分がもっと入り込むことができたら、秀作を超える日は近い。

教授・室越 健美

  • 作品名
    人, 人だった
  • 作家名
    平手 ちひろ
  • 作品情報
    『人』
    素材:油彩、キャンバス
    サイズ:H1303×W1620mm

    『人だった』
    素材:油彩、キャンバス
    サイズ:H1940×W2590mm
  • 学科・専攻・コース