死んでも命のあるように, 女の子だから、女の子に育てる

長田 鈴香

担当教員によるコメント

長田は一貫してアクリル板の裏側から女性を描いてきた。この技法は繊細な注意力と神経の駆使を必要とする。絵画史上では14C頃ベネチアで盛んに行われ、江戸時代には日本にも伝播されている。形象の左右反対、最後に描くものを最初に描くという、手順の逆転が付きまとうが、絵の具が空気に触れず透明感のある発色が保たれる。長田は描き初めのころに手順に苦労し不自然な斑点が目立つ人物になっていたが、最近はその問題は解消されている。卒業制作は、アニメでセル画を重ねるように三層のアクリルを仕立て、立体的な作品に仕上げた。手順の逆転を感じさせない完成度の高い描写力は人目を惹く。長田はこの技法で、描く時の時間の逆転を楽しんでいるのかもしれない。

教授・室越 健美

  • 作品名
    死んでも命のあるように, 女の子だから、女の子に育てる
  • 作家名
    長田 鈴香
  • 作品情報
    『死んでも命のあるように』
    素材:アクリル板 油彩
    サイズ:H1060×W1715×D55mm

    『女の子だから、女の子に育てる』
    素材:襖紙 引手
    サイズ:H975×W1480×D102mm
  • 学科・専攻・コース