星, 別離

久保 真理子

担当教員によるコメント

幼少期の転校体験の多さに起因する別離の悲しみが、「相手を自分の一部に」するというユニークな視点を生む。100号の〈別離〉では、抽象化された涙と眼が画面全体を支配し、強烈な色彩がその感情の高ぶりを十全に表現している。一方、150号3枚組の意欲作〈貝・星・塩 /声を聞くためのシリーズ〉では、色彩が白と黒に限定され、作者の内面が発生させた生物(「深夜〜夜明けのこころのいきもの」)が、記号化された形式性を伴った強い構造的な構成力の力技で描出される。抽象的な解釈と具象的な解釈の双方を満足させ得る優れた絵画作品となっている。自身の意図を、細部にとらわれず、強い意志と決定力で実行できる才能は他を抜きんでており、作者の誌的な発想も素晴らしい。

教授・中村 一美

  • 作品名
    星, 別離
  • 作家名
    久保 真理子
  • 作品情報
    『星』
    素材:油彩 、キャンバス
    サイズ:H227×W182cm(3枚)

    『別離』
    素材:油彩 、キャンバス
    サイズ:H162×W162cm
  • 学科・専攻・コース