身の周りの音から始まる音楽

今木 研志

作者によるコメント

より多くの人が気軽に演奏を始めるためには、誰でも参加することのできる演奏体験の場をつくる事が必要です。そこで、何でも楽器にできるマイクのような道具とエフェクターを組み合わせて、身の周りのものや体を使って簡単な行為で演奏ができる仕組みをつくりました。 練習によって得られる 演奏の技術だけでなく、素材や鳴らし方を工夫することで面白い音を発見できるという楽器の魅力を体感することができます。また今まで音楽とは捉えられなかった音を使って、身体表現やドローイングと音楽を結びつけた新しい表現をつくることもできます。さまざまな合奏の形を提案し、ひとりでできることに溢れた時代の中で「人と一緒に体験を共有する」ことの価値を大切にしたものを目指しました。

担当教員によるコメント

本作品のアウトプットは、クリップ型マクロフォン(集音器)とエフェクター(拡張)機能付スピーカーが一体になった次世代の電子楽器の姿をしている。しかし、評価されたポイントは、カタチのデザインに留まらず、彼の音に対する執念とも言える音楽体験企画やワークショップ参加、また自ら企画のイベント等を背景にした計画的調査分析であり、音楽体験で生まれるロケーションを創出している点である。身近なものから生まれる音の意外性や変化を楽しみ、複数人でセッションする。そこには玄人も素人もない音を楽しむ空間ができる。音メディアを介しての創空間が魅力である。製品への実現性も高く、今後のプロダクトとして大いなる可能性を感じさせるワーキングプロトタイプである。

教授・中田 希佳