かけるかみ

南木 太地

作者によるコメント

約5000年前に紙が発明されてから、人は紙に情報を記録してきました。しかし、私が研究した「かけるかみ」は、紙を情報媒体として扱うのではなく、この紙のこの色で他の何かに描くことが出来る紙なのです。ありふれたプロダクトである紙に「描ける」という付加価値を加えることで、新しい視点が生まれるのではないでしょうか。

担当教員によるコメント

シート状の色のついた「かけるかみ」をちぎり、軽く巻いて水をつけて描く/こすることで、シートの色が移り描くことができる。当初は非常に淡い色表現しか描くことができなかったが、製法を変え、素材をいろいろ試しながら進めたことで、水彩色鉛筆のような描く色体験ができるようなものにまで仕上がっている。南木くんのこの「かみでかく」という発想自体、とてもユニークであるが、その着想を地道な検証実験で形にしていくプロセスによって、この提案は支えられている。絵画の中にある色をちぎって自ら描けるいう体験も、ユーザーの描きたい感覚を大いに触発させるものとなっているだろう。

教授・濱田 芳治