無題

加納 和佳

担当教員によるコメント

類人猿とヒト(人類)との分岐は6〜700万年前とも云われているが、この値からすると、古くとも3〜4万年前とされるヨーロッパの洞窟壁画群や動産美術の類いは人類史上極めて新しい表現と云えるであろう。近年、300万年前とも云われるヒトの美的創造物の存在も伝えられているが、長大な歴史を鑑みるとそれにも説得力がある。加納の用いる道具は一本の鑿とハンマーのみである。昨今の様々な電子メディアを用いた表現を否定するつもりは無いが、それでも「ゲンダイジン」達に古臭くて野暮ったいと揶揄されながらも、自分の身の丈に合った手法で時代に逆行する者が居なければ、この地球は明日にでも滅亡するであろう。加納の作品は紛れもないもう一方の「人間」の証明である。

教授・水上 嘉久