卒業制作優秀作品集2017
芸術学科

寺田 有里

レーザーカッターで活字を作る
―活版印刷の現状と未来―

一度はオフセット印刷やDTPに取って代わられてしまった活版印刷が、2000年頃から今度は表現手法の一つとしてデザイナーに取り入れられるようになったのは何故なのか。歴史と現状のインタビューを通じてまとめた。また縮小する活版印刷業界を維持するために、デジタルファブリケーションとの融合でできることはないかを模索し、レーザーカッターを使用して活字を作る実験を行なった。

担当教員によるコメント

デジタル化時代に生れ育ちながら、活版印刷に惹かれるという若い人は多い。この論者も、書物設計ゼミの活動で実際に活版印刷を体験する中で、印刷全般の歴史と方法に関心を深めていった。そこから、活版の技術の周辺を調べ、かつての業界を検証し、衰退の流れをたどり、生き残りえている理由を探り、永続を占う。ここまでは他に例を見る論文だが、本研究はその先まで行く。レーザーカッターで木活字を実際に製作してみるという実験である。一定のルールを定め、十種類の木材で活字を作り、印刷に試用し、適不適を細かく比較した。デジタル化の揺り戻し現象を見定めながら、活版がアートやものづくりに寄与していく未来への発想を探っている。論文と実験とが有機的に一体となっている好例である。

教授・平出 隆

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