ふわり

奥田 風里花

担当教員によるコメント

アフリカの野生動物たちが、気持ち良さそうにふわりと仲良く浮き上がっています。温かく、楽しさと生きものたちへの慈しみの溢れた気持ちが、素直に伝わってくる大作です。銅板変形絞りの技法を基盤に、アルゴン溶接を駆使して造り上げています。作品のボリュームと軽やかさの表現に、鍛金の絞り技法ならではの、軽量でありながらも強度も兼ね備えた特質を効果的に活用しています。モノづくりを続ける人間にとって、研究心や手間を惜しまない姿勢と気質が必要です。作者はその気質も持って、一貫したテーマで試行錯誤しながらも熱心に制作に打ち込んできた様子が作品から感じ取れます。今回の作品コンセプトはシンプルで明快ですが、今後の課題としては、具象表現であれ抽象表現であろうと、さらに対象物やテーマへの観察力と洞察力に磨きをかけることが望まれます。その努力が時間をかけて読み解く表現内容を深め、作品の質を高めるのです。

客員教授・安藤泉