地層を築く日々の堆積

池上 里佳子

作者によるコメント

生活から排出されたものをそこから遠い最終処分地へ追いやってしまう形ではなく、生活を営んでいく中で、海岸線では無く変わらぬ地層を積み重ねながら暮らしていくあり方の提案。

担当教員によるコメント

江東区越中島は江戸時代のゴミ埋立地である。現在でも目先にゴミ処理施設がありながら、人々はゴミなどなかったかのようにフラットランドに暮らしている。そこにゴミ問題を日常の一コマとして取り入れる生活をする家族が住み始める計画である。まず既存を壊したゴミで起伏をつくり住戸を新築する。そして日々出るゴミも埋め立て続け、共有する所からこの場に新たなコミュニティーを育くんでいく。起伏を含んだその土地のありようは淡々としていながら魅力的で人間的であり、街全体へと広がっていくシステムも埋め込まれている。この作品は21世紀を肯定的に生き抜いていく生活像、そして新たに堆積を始めるというランドスケープのダイナミックな方向性の存在を力強く示している。

非常勤講師・古暮 和歌子