calm

斎藤 正明

作者によるコメント

日常的なものの中には、その名前の悪いイメージ等が先行し、魅力的なものと認識されていないものがある。そのあまり価値のないものに価値を見出す提案。

担当教員によるコメント

煙だけが闇の中に浮かび上がる空間。齋藤は煙に魅せられ、1年間ひたすら研究と実験を繰り返して、この世界に到達した。様々な素材を試し、選ばれたのは線香。その煙以外の要素を一切感じさせない空間を作るために、細部にわたるまで精緻にデザインされたインスタレーションである。この空間では、緩やかに揺らめきながら消えゆく煙の美しさに引き込まれ、静かな時間が流れていく。空間をデザインするということは、実は時間をデザインすることである、と改めて感じさせてくれる力作だ。

准教授・橋本 潤