TOKYO TATTOO

吉岡 峻

作者によるコメント

「江戸刺青」、「東京ファッション」、「文字」。三つを混ぜ合わせた実験の過程。
江戸時代、火消しや飛脚など服を着れない人のために生まれた世界でも稀に見る総彫りというスタイルの江戸刺青( 和彫り)。そんな日本独自の江戸刺青、そして東京の街を彩る日本語のタイポグラフィを使って江戸刺青を現代の東京のファッションでリバイバルしたらオリジナルのタイポグラフィの、そしてタトゥーの表現になるのではないかと思い制作しました。この作品を作るにあたり協力してくれた全ての方々、そして何より両親に感謝したいです。ありがとうございました。

担当教員によるコメント

納得のいく被写体を求めて日々街に繰り出しキャスティングを行った。選ばれた人達が放つリィアリティのある言葉を、ひとつひとつ丹念に描くオリジナル文字で綴り、身体に刻み込む。そして、一枚の紙に生々しい写真として定着させることにより、吉岡峻は“今”を鋭利なメッセージに仕立て上げた。異彩を放つ素晴らしい成果だと思う。モノやコトが何時でも安易に手に入る時代である。便利さはありがたい。しかし、不器用であろうとも決意したこだわりを貫き、鍛え上げた自身の力で新鮮な価値を証明することにクリエーションという行為の魅力が存在する。吉岡の卒業制作はまさにその実証なのだ。

教授・澤田 泰廣