彼の世界

山川 咲紀

作者によるコメント

宮沢賢治の童話「銀河鉄道の夜」文章から、視覚的なイメージを考え、その作品の世界観を半立体作品として制作を行った。作者(宮沢賢治)は、農学や植物学、天体、宗教観などに興味を持ち、その知識を童話に盛り込み制作を行っていると考察する。彼自身の思想についても考えながら、物語の主人公が辿った旅の軌跡、私自身のイメージや解釈を含め今回の作品として落とし込んだ。

担当教員によるコメント

物語世界から受けるイメージを抜き出し、再構成したレリーフ作品に何度も挑戦してきた。ストーリーを追いかけるのではなく、物語が漂わせている雰囲気や感情をレリーフの構成パーツで総体的に感じ取ることのできる作品づくりをめざした。イラストボードをレーザーカッターで切り抜き、彩色して重ねる手法もその中で開発してきたものだ。宮澤賢治の「銀河鉄道の夜」のキーワードから抽出されたシーンが散りばめられ、きれいな彩色のもとにイメージの連なりをたどってゆく心地よさ。これは一方向にたどってゆく絵巻物ではなく、円環上をいつまでも漂い続ける円環巻物である。

准教授・森脇 裕之