楽園の劇, 予兆
後閑 聡美
担当教員によるコメント
風景は炎のように揺れ動きながらひと時もとまらず息づいている。家、木、道、空は陽炎のように揺らぎ、現実と非現実の間に確かな存在感を有する。その揺らぎはある人には不安感を抱かせ、またある人には力強い未来の世界を想像させる。ここに登場するそれらのモノたちは画面のあちらこちらで互いに何かささやきあっていて、その一つひとつの場面が彼女の世界感を表明し代弁している。単に理想の世界を描いているのではなく、登場はしないが根底に人間の営みがあるという作者の思いが伝わってくる。絵は全てが彼女の心の叫びである。この卒業制作の三枚つなぎの大作には、学生生活で得た思考、生活、夢、未来も不安もすべて注ぎ込まれた。この一点が生まれたことで、彼女は画家への入り口の在処を見つけたと思う。
教授・野田 裕示
- 作品名楽園の劇, 予兆
- 作家名後閑 聡美
- 作品情報『楽園の劇』
素材・技法:油彩、キャンバス
サイズ:H162×W363cm
『予兆』
素材・技法:油彩、キャンバス
サイズ:H130.3×W162cm - 学科・専攻・コース
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