viewing 5 (spring coming), vision28

水上 愛美

担当教員によるコメント

木枠に張られないまま描かれたキャンバスが、壁の上下に配置された金属製のパイプから、針金によって吊り下げられている。しかしその有り様は、それぞれの物質性や関係性、あるいは重力などを含む「モノ」としての状態を示しながらも、キャンバス上に描かれた圧倒的な絵画空間を我々に提示している。その空間は、自らの意識下に蓄積されたイメージを、描くという行為によって起きる偶然性を受け入れながら、掘り起こし、あるいは解体をくり返すことで構築されていく。そしてそれらは決して閉じることなく、同時代の他者への発言として開かれているのだ。提出の前日に木枠に張ることを決断したもう一方の作品(F100)からも、絵画と真摯に対峙する水上の姿勢と作品の美しさに感動した。

教授・小泉 俊己

  • 作品名
    viewing 5 (spring coming), vision28
  • 作家名
    水上 愛美
  • 作品情報
    『viewing 5 (spring coming)』
    素材・技法:油彩、アクリル、キャンバス
    サイズ:H210×W420cm

    『vision28』
    素材・技法:油彩、アクリル、キャンバス
    サイズ:H128×W109cm
  • 学科・専攻・コース