ゴミ集積所近隣の方の負担を減らす

高山 優里

作者によるコメント

戸建て住宅のごみ集積場は、掃除などの管理の全てを住人が共同で行なうため、様々な負担があります。その中でも一番の負担であることが分かった「ごみが散らかる」という問題に対し、袋の底に正方形のマチを設けた倒れにくいゴミ袋と、袋と合わせた色面を配置した置き場で人が無意識に秩序を持ってごみを置こうとする、きっかけをつくるための提案です。

担当教員によるコメント

ゴミ出しに関する問題解決というと、マナー、義務、規則の遵守という意味合いが強いデザインになりがちだが、この提案は、視覚情報による人の自然な動作を誘発することをうまく利用し、ゴミ収集所の景観を改善するというものだ。多くの人が子どもの頃に横断歩道の白い部分だけを選んで飛びながら道を渡ったり、歩道の敷石を1、2個とばしで歩いた経験があるはずだ。規則的に並んでいるグラフィックに対して、ゴミ袋は自然にあたかも所定の場所があるかのように置かれていくのだが、このとき最初の一つがもっとも重要であることを発見した観察力がこのデザインの緻密さに繋がっている。細やかでスマートなデザインは日常生活の窮屈さから私たちを開放してくれる可能性を持っている。

教授・大橋 由三子