卒業制作優秀作品集2017
生産デザイン学科プロダクトデザイン専攻

原 盛夫

自宅での排泄処理による精神的負担の軽減

技法・素材:ストレッチ素材、ロックミシン

祖父が認知症だった経験から研究をはじめ、そこから特別養護老人ホーム、デイサービスへ体験リサーチをするうちに人手不足・介護保険削減などの理由から自宅介護せざるを得ない状況が見えてきました。そこで卒業制作のテーマを自宅介護での排泄処理による精神的負担を軽減することに設定しました。漏れる原因を調べていくうちに、座った状態で漏らしてしまうと内部でお通じが広がり、パッド本来の吸収力が、紙の目が詰まることで下回ってしまうことが分かりました。そこから実験を繰り返し行い、坐骨の下にクッションを入れることでお通じがパッド内部で広がることをさけられることがわかりました。最終的には発見から排泄物が外側にはみ出ることなく受け止めるインナーパンツを作成し、介護する側と認知症の方の望む生活の両立の手助けをめざしました。

担当教員によるコメント

自宅介護をとりまく問題に対しデザインでどのように貢献できるか。前期研究としてデイケアスタッフとして1ヶ月働く体験取材の結果、認知症の家族の自宅介護で、最も心が折れるのが排泄処理だということを知ったという。オムツとパッドの機能の違い、プロの介護士の技術をさらに体験取材することで「座って暮らす」ことの重要性を知る。この提案は、パッドとインナーパンツの併用で介護スタッフのいない家庭で「座って暮らす」ことをサポートするというものだ。デザイナーとして難しい問題の本質を見極める姿勢と思考、実践が、すばらしい発見と提案に結びついた。この優れたデザインは認知症の方のためだけにとどまらず、他の多くの場面で役立つに違いない。

教授・大橋 由三子

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