睡眠は死のパロディ

大木 冴月

担当教員によるコメント

この二年間程、溢れる感情や刹那的焦燥感を、ミックスメディアインスタレーションへと展開してきた大木の作品群は、極めて私小説的な着眼点を発端としながら、同時に、今の時代を生きる私たちが感じる不安や怒りを代弁している。そこには、日常を見つめる近視眼的「犬の目」と、広く社会を観察する俯瞰的「鳥の目」の共存が見て取れる。寝具を用いて作られた本作「睡眠は死のパロディ」は、大木自身が抱える不眠の問題を基に、漠然とした死への恐怖、性行為に宿る支配の歴史、といった潜在的テーマが重ねられ、意識的であれ無意識的であれ、父権社会の中に存在する女性の身体といった、政治的視点へと繋がっている。今後、自作の持つ政治的側面により意識的になることで、さらなる飛躍が期待できる。

教授・笠原 恵実子

  • 作品名
    睡眠は死のパロディ
  • 作家名
    大木 冴月
  • 作品情報
    技法・素材:自分が寝ていた布団、新聞紙、コンクリートブロック、発泡ウレタン、金属チェーン、紙粘土、アルミ製砂ふるい、アクリル塗料など
    サイズ:布団=H210×W90×D15cm
    コンクリートブロック=H12×W15×D15cm
    インスタレーションサイズ可変
  • 学科・専攻・コース