Seeing

石川 晶子

担当教員によるコメント

石川さんは、ガラスや氷の透過性と霧がかかったような表層にこだわり、ビニール素材を手に長い間悩み考えた。その過程が思考を先へ押し進め「Seeing」の契機となった。彼女は白生地に白糸を刺し手探りするように、かたちやテクスチャーを浮かび上がらせる。その上にイメージを重ね写すと、新しい輪郭や偶発的なかたちやずれ、不思議な色彩が表れた。人間の得る情報の多くは眼から入るが、普段そのことについて考える人は多くはないだろう。瞼を開ければ「見える」が、「視ること」が促され何をみているか考えはじめることができる。「ゆっくりと深く視る」試みから4つの美しい情景がうまれた。石川さんは日々に目を凝らしながらどのように考え、次は何をつくりだすのか、楽しみである。

教授・川井 由夏