毎日

渡辺 陽香

担当教員によるコメント

渡辺陽香さんは誰も気に留めない日常の中で見られる事象に興味を抱く。お役目が終わったと思われたものが作品の中で復活する。あさりの殻、断線したイヤホン、焼きたらこの端っこ、バケツの中の花火の燃えカス、ゲームの基盤、みかんネットに入ったレモン石鹸、とびっこの軍艦巻き、パックのしらす、消しゴムのカス、のりたまご飯一口分、ノートのしおり、みかんの皮、ショートケーキのフィルム、メロンの皮、七味の小袋。そこに意味があるかが重要ではなく興味が沸いたささやかな発見に彩りを見いだす。そしてその発見は刺繍を主に染色などを駆使した緻密で繊細なオリジナルテクニックによって表現され、凝視するとリアルを超えた存在感で圧倒される。五感を刺激する魅力に富んだ作品である。

教授・弥永 保子