血と汗による3Dプリント

大竹 舞人

担当教員によるコメント

かつて大竹さんは、「教育によって形成された常識と氾濫する情報によって人は観察の経験を欠く。」と述べている。この洞察が彼の作品に通底しているように思う。素材と対峙し身体全体を使って黙々と制作してきた。思索を深め技術を習熟し、その経験を経た素材の選択とかたちの発見があった。プリンターインクの色を用い身体を道具としてかたちを形成し、制作の時間を数列として記録した。「血と汗による3Dプリント」は、この4年間の渾身の集大成である。テクノロジーの急速な進化に大きく影響される私たち。どこまでその身体的能力が変化し、人間は、魂はどこへいくのだろう。彼の問いかけがそこにある。冷静な観察眼と熱い心と手で、作家の道を切り開いていくことを大いに期待している。

教授・川井 由夏