ある島への憧憬ーまちから島の間に広がる共有資源の顕在化計画ー

津島 直道

作者によるコメント

宮崎門川町において、町の人々が潜在化で共有していながらも、生活の中で触れることのできない町の資源へのアクセスを可能にする施設及び街路空間を計画した。

担当教員によるコメント

天然記念物カンムリウミスズメの国内最大の繁殖地である枇榔島を、小さな湾の沖に眺める門川町が舞台である。作者はまず総延長3kmほどのマスタープランを想定し、その文化的直交軸として、駅の跨線橋、海鳥の観測船の発着所と研究宿泊所、そして小さな海上観測場を設計した。現地の造船所や漁師町から抽出された建築言語は線材を基調とし、魅力的な透け感のある半屋外空間が構成され、空間全体が海風をはらみはじめている。この海鳥がそうであるように、人々は海の風の日毎の違いを感じ始め、自らが豊かな地にいることを実感しはじめるであろう。地域に対しての正確な眼差しやスケール感、素材と海風が織りなす肌感覚が備わり、宮崎の近未来の姿を新鮮に提示している。

非常勤講師・古暮 和歌子