after image, vacant land
南山 文子
担当教員によるコメント
南山は感覚的なストロークと再現性のある色彩によって、記憶の中の風景を再構築している。その仕方は透視図のような静的なものではなくて、歩きながら何かに出会う感覚と似ている。ここでは風景は解体され、入り組んだ視点が破片のように続いてゆく。キャンバスを切り取り、時に裏返し違った場所に貼り直すことでその感覚が倍加している。このようにバラバラに解体された視点は実は現実のものの見方に近いのだろう。つまり「見る」こととは一定の決まり事で統合されたものではなくて、断片を脳で組み合わせたものだということだ。絵画の役割のひとつに、物事に対する既成の見方を変換させ、新たな了見として提示することがある。その意味で南山の作品は写真のような風景の見方に一石を投じている。
教授・菊地 武彦
- 作品名after image, vacant land
- 作家名南山 文子
- 作品情報『after image』
素材・技法:ミクストメディア
サイズ:H290×W430cm
『vacant land』
素材・技法:ミクストメディア
サイズ:H160×W205cm - 学科・専攻・コース
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