卒業制作優秀作品集2018
生産デザイン学科プロダクトデザイン専攻

安河内 遼樹

誰もが気軽に地域社会に参加できる機会をデザインする 「地元情報共有スポット -ジモスポ-」

技法・素材:MDF、アクリル、ポリプロピレン、NC切削、スチレンボード、カッティングシート、クラフト紙

地元に根付くスーパーマーケットを情報の拠点とし、複数のプロダクトを用いて「自分のできること」や「ちょっと頼ってみたいこと」といった情報を、住民同士が気軽に発信し共有できるようにする提案です。私は現在の高齢化社会の中で、高齢者の身体機能から自治体の活動まで様々なリサーチを通して2つの問題に注目しました。それが、退職後の肩書きの変化で人の価値が変わってしまうということ、そしてそれが起こった場合にもう一度活躍できる社会の環境が整っていないということです。私はこの現状に対し、肩書きではなく活躍できる情報を重視する社会に変化するべきだと考え、「その人の出来ること」という情報と一番身近な「地域社会」に着目しました。この提案はインターネットを使って発信すると埋もれてしまうような価値を、地域の中ですくい上げられるため、新しい町づくりの一端をも担える可能性があります。

担当教員によるコメント

「肩書き」は、良くも悪くも少なからずその人の評価に影響しているということを切り口に、超高齢化社会における人々の生き方と情報の関係性に問いを見いだしている。作者が目指すのは行政と個人の関係に加え、構成する小さな単位としてひとりひとりが互助関係を作り上げられる地域社会だ。「地元」という感覚のリサーチから、相応しい情報量と質、そのやりとりの方法という一連のデザインを実現する拠点にスーパーマーケットの風除室を設定した。現代に相応しい「私」の表し方と地域社会のあり方という大きなテーマに挑戦する地道なリサーチに裏付けられた力強さと、人々の生き方や日々の暮らしに向けられた優しい眼差しからデザイン表現の細部までを導きだしている点を高く評価した。

教授・大橋 由三子

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