OVERWHELMING AIR

WON Ji Yoon

担当教員によるコメント

「OVERWHELMING AIR」と題されたこの作品は、ウォンさんが感じた異質なものと自分、あるいは物質と人間との交流をリアルな現実として強く表現されている。空気感と物語性を感じさせるノスタルジックな色彩と、平面的に塗られた影は、染料と顔料を使い分け様々な染色技術をミックスし制作された意欲作である。この4点の作品には緩い繋がりが見てとれ、その繋がりを結びつけるものとして斬新で大胆な行為の積み重ねである絶妙なドローイングがある。また、顔料を付着させることで描かれた人影は、画面に張り付いているようでこの空間で彼女が他人として存在していることを表そうとしている。圧倒的な空気に呑み込まれそうな、ギリギリの危うさにその魅力が感じられる作品である。

講師・山田 菜々子