空白の意識

山﨑 沙祐莉

担当教員によるコメント

山﨑沙祐莉さんの卒制は綿布にシルクスクリーンでプリントされた3点の作品である。作品が大きいので遠くから見ると、まずグレイと赤の直線による構成のもの、次に色面による構成のもの、そして3原色が擦りつけられたようなかすれたタッチが全体に広がっているものと、一見別々なテーマの作品かなと思ってしまう。しかし、実際は一枚の写真がもととなっていて、その景色を見る本人の変化する眼差が同じ構造の上に3種の表層を与えた3連作なのだ。また、無意識を意識するといった矛盾的なテーマ設定は「白」に強さを与え、図と地の関係に間違えなく緊張感をもたらしている。見る者の視知覚が刺激され、さまざまな言葉が生まれてくる。いつまでも見ていたくなる大変優れた作品ができあがった。

教授・柏木 弘