太陽のキャッチボール

岡本 風愉

担当教員によるコメント

岡本風愉のスケッチブックは何冊になっただろう。ドローイングやコラージュを数多く重ね、美大で学ぶ意義や染織表現について思い詰めるほど考え手を動かしてきた。今回、彼女は、心理的な障害物としてのさまざまな“壁”について、個人的な経験と考察から制作した。壁に穴をあけ線をひき、自ら障害物を越えて行きたい意志を表明している。あえて既製品のカラフルなビニールレザーを用いたのは、既存の染織表現に問いかける意図があり、布が物理的に見せる垂れ下がった状態に寄り添いながら描いてみることで新しい表現に挑戦した。現在、世界は様々な分断による問題を抱えている。彼女が個人的な視点からさらに広い視野を獲得し世界に目をむけ、意欲的に作品制作を展開することに期待している。

教授・川井 由夏