定説はひっくり返る

金光 詩織

担当教員によるコメント

人間や地球は、宇宙の中心であるとする天動説、これに対して宇宙の一部であるとする地動説。定説をひっくり返そうとすると、その結果は宗教裁判にかけられ、火あぶりの刑。ある説に対する異端とされる説は、悲惨さを伴う。金光さんの場合には、ユーモアが介在する。ハルキゲニアと言われる古生物の珍妙な造形が好きだと言う。この古生物は二度も復元図が変更されたそうで、一度目は背中と腹の上下の関係、二度目は頭と尾の前後の関係。はたして生き物が、上下前後を入れ変えられて存在出来るのか、はなはだ疑問である。ちなみに以前頭と思われていた丸い部分は、なんと糞であったと言う。もう言葉を失うしかないが、やがて徐々に口元が緩み笑みが浮かんで来る。ここが金光さんの本領発揮の場である。

教授・多和 圭三