まどろみ

齊藤 かな

担当教員によるコメント

本州の在来馬である木曽馬をモチーフとして、たっぷりとしたボリューム感が印象的な馬の彫刻である。作者は動物がそこに自然体で存在している姿を表すことを卒業制作の主要なテーマとして、この作品に取り組んだ。そのため特別に美しい馬種やポーズを選択せずに、むしろ眠っているように佇んでいる木曽馬の農耕馬としての穏やかな姿を表現している。技法的には楠の丸太から馬体の中心部を切り出し、同一材から切り出した木材で足と尾を寄せ木している。胴体部分は内刳りをほどこしてあり、チェーンソーを使った荒いながらもしっかりと大きな形の組み立てを押さえた表現となっている。動物達が本来持っているおおらかな存在感が伝わってくる作品である。

教授・川越 悟