浸蝕 ー厦門市立図書館

テイ ロンクン

作者によるコメント

海が岩を削り、「地層」が⾒え、知識を積層されて「歴史」になる。海に浸蝕された地層という印象で建築を築き、地層と歴史を表現した。⽔、岩、光、緑を通して、⼈々に時間と空間の変化を感知させたいと思う。

担当教員によるコメント

建築ができる大きなコトにやや後ろ向きな学生が多い中、大胆でおおらかでありながら、ヒューマンなスケールにも繊細さを見せた建築だ。2年次の建築課題から、その成長ぶりは著しい。3年次に垣間見せた造形力が、この卒業制作に大きく花開いたようである。本棚のスケールから巨大な建築空間にまで展開させようという試みではあるが、決して構造的な妥当性とは縁遠いフリーカーブの水平なプレキャストのエレメントを、美しい曲線で積層させ、三次曲面の空間を生みだしている。構造の先生と膝を突き合わせて、成立させようという意思も高く評価したい。様々な空間の質を生むべく、曲線とその積層具合への腐心が、プレゼンテーションではややその説明が足らず、伝わり難かった。院では乗り越えよう!

教授・松澤 穣