igokochi 〜ペットと人、お互いが長く心地よく過ごしていくための椅子〜

安藤 環

作者によるコメント

自分にとって心地が良く幸せに感じる時間は、家でペットとくつろぐ時間である。ペットの猫にとってどんな空間が居心地の良い空間なのかを観察し、人の生活の一部でもある椅子に猫の行動心理に基づいた寸法を落とし込んだ。

担当教員によるコメント

用途を明確にすることで、良いデザインを生み出しているわけではない。それはいつも向き合う命題であるが、デザインする過程においても、何か不確定な方が何かを誘引するように思う。この作品は日常的ではあるが、不確かなペットとの関わりに、偶発性をみようとしている。題材を一人掛け椅子に限定することで、それぞれの身体感覚、とりわけ猫の身体感覚についての検証は興味深い裏付けとなった。そしてアノニマスな椅子に、いくつかの要素を付加し偶発性を内包した違和感ある佇まいは、何かを暗示しているようで作品としての個性となった。

教授・米谷 ひろし