私たちの幸せを心より願っております

タジマスズリ

作者によるコメント

テンプレート化された可愛いのイメージと生まれ持った身体をテーマにコラージュ写真を制作。アイドルとは本来「手の届かない存在」であったが、近年では「会える」「話せる」が当たり前になり、プライベートとの境界が曖昧になっていると感じる。誰もが誰かにとってのアイドル=偶像になりうる現代では、可愛い偶像のテンプレートに自らを当てはめるようなメイクをしたり整形を繰り返したり等身体改造に近しい行為で、可愛いのイメージと自分の生まれ持った身体のギャップを埋めることに過剰に執着する女の子もいたりする。ギャップを埋めるその行為を楽しめている女の子もいれば苦しんでいる女の子もいて、執着すること自体、良いとも悪いとも断言できないが、「可愛さ」との距離が激しく変容する時代でこの作品が改めて考え直すきっかけになることを願っている。

担当教員によるコメント

写真のあり方に大きな影響を与えているSNSは、不特定多数の評価を前提にしたテンプレート化を推し進めている。この作品はデジタル的なテンプレートを、プリントという物質上で解体・変形し、誰もが疑問に思わない「可愛い」を脱構築している。肖像と記憶の関係を考えさせる批評を含む、実に刺激的な作品である。

教授・港 千尋

  • 作品名
    私たちの幸せを心より願っております
  • 作家名
    タジマスズリ
  • 作品情報
    インスタレーション
    技法・素材:セルフポートレイト写真のコラージュ、防炎クロスにインクジェットプリント
    サイズ:H1580×W2236mm(3点)
  • 学科・専攻・コース