VR盆栽

高階 裕太

作者によるコメント

見上げるという動作は特別変わった動作ではありませんが、いつもと違った表情や感覚・発見や価値観を見出すことができる豊かな動作の一つだと感じます。私は、デジタルで製作した景色盆栽をモチーフとした環境を、人間の1/5 のスケールの小人になって、自由に移動し見渡すことができるVRコンテンツを製作しました。この作品が、帰り道や普段の生活の中で、なんとなく木を見上げてみたり、反対に地面を見下ろしてみたりするきっかけの一つになればなぁと感じます。

担当教員によるコメント

盆栽の展示会で「小さくなって苔の上に立って、この盆栽を下から眺めたいなぁ」と考えたことが、この制作のきっかけだという。3DCGの高い技術を持つ高階は、CGで盆栽をつくりVR技術を使って、それを実現することを考えた。そのためには、まず盆栽の知識を得なければならない、VRでの鑑賞に堪えられるだけのリアリティを獲得しようと思えば、CG技術のスキルアップや高いマシンスペックも必要になる。さらにVRのための機材コントロールもある。この卒業制作期間の9ヶ月あまりで、それら全てを完璧にすることは難しい。彼はプロトタイピングを重ね、あきらめるところはあきらめて、最後には盆栽の下に立つことができた。盆栽のまわりを歩き、木の登ったときは、最高の気分だったろう。

教授・永原 康史