スーパーカブ

大之木 裕亮

担当教員によるコメント

作品を作る場合、まずはそのコンセプトについて調べそれを精査しまとめ、作品のテーマを導き出すのが王道だろう。大之木君の場合、“調べる” 作業(行為)そのものが特徴的であり大之木君らしさが表現出来る場所である。調べる過程で主幹を見失い小さな枝に入り込むことが多々あるが、その枝葉に入り込み主幹から外れて行った具合が実に面白い。調べる行為がひとつのパフォーマンスになっているのだろう。今回はHONDAの原付のバイクのスーパーカブに着目し工場の訪問、最終的には中古のスーパーカブの購入にまで及んでいる。展示はスーパーカブについて調べる過程で発生した様々な情報が、小さな付箋にメモとして書かれ他のイラストや写真と一緒に
壁一面に貼られている。観客はその細かい内容に圧倒され、いつの間にか主幹を見失い作者の意図を感じるだろう。

教授・原田 大三郎