森川 真奈

担当教員によるコメント

どことも知れない自然が柔らかい色調で描かれ、そこで育まれる生命の物語に引き込まれる。描かれているのは始まりと終わりがある線的な生命観ではなく、死の後に別のつながりが生まれる循環的な生命の有り様だろう。アニメーションは西欧で生まれた映像の一ジャンルであるが、タイトルの「縁」が示しているのは、アニメーションという言葉に含まれているアニマ=いのちを、日本の自然観を通して表現したものとも言える。美しいだけでなく、幅広い世代に鑑賞されることにより、自然思想や生命観について会話が生まれるきっかけとなるような、強さを秘めている。

教授・港 千尋