野村 七海
母性
映像美術設計、セット模型
担当教員によるコメント
「母性」(湊かなえ原作)の映画化のための美術計画です。湊かなえの小説は、日常の中の狂気を描く作品が多くあります。この「母性」もありふれた家庭に見えながらも、その内側にある愛情と、人の怖さが重要なテーマとなっています。映画でのメイン舞台を何箇所か想定し、丹念に現地調査を重ねています。その結果、葉山と鎌倉に決定しデザインをスタートさせましたが、これが大きな効果をあげています。場所の設定による美術計画が、見事に内容にはまっているのです。高台にある「美しい家」は、海が見える前庭が広い夕陽が綺麗な家です。その映像からも、幸せな家庭が表現されています。一方、田所家は極楽寺の江ノ電を渡った場所で、裏山の崖を背にしており、仄暗く湿気を感じる設定です。この対比により、すでに美術設計の大部分は成功しているのです。そのうえで、難しい和風建築の設計に挑戦し、調査と設計変更を繰り返し最終的には非常に高いレベルのセット図面を仕上げています。模型製作も丁寧で、野村さんの美術・照明計画は、スケッチ段階からそのセンスの良さが出ていましたが、ショットイメージはまるで出来上がった映画を見ているような出来栄えでした。今後もその感性と粘りを武器にして成長を遂げることを期待しています。
教授・山下 恒彦
担当教員によるコメント
「母性」(湊かなえ原作)の映画化のための美術計画です。湊かなえの小説は、日常の中の狂気を描く作品が多くあります。この「母性」もありふれた家庭に見えながらも、その内側にある愛情と、人の怖さが重要なテーマとなっています。映画でのメイン舞台を何箇所か想定し、丹念に現地調査を重ねています。その結果、葉山と鎌倉に決定しデザインをスタートさせましたが、これが大きな効果をあげています。場所の設定による美術計画が、見事に内容にはまっているのです。高台にある「美しい家」は、海が見える前庭が広い夕陽が綺麗な家です。その映像からも、幸せな家庭が表現されています。一方、田所家は極楽寺の江ノ電を渡った場所で、裏山の崖を背にしており、仄暗く湿気を感じる設定です。この対比により、すでに美術設計の大部分は成功しているのです。そのうえで、難しい和風建築の設計に挑戦し、調査と設計変更を繰り返し最終的には非常に高いレベルのセット図面を仕上げています。模型製作も丁寧で、野村さんの美術・照明計画は、スケッチ段階からそのセンスの良さが出ていましたが、ショットイメージはまるで出来上がった映画を見ているような出来栄えでした。今後もその感性と粘りを武器にして成長を遂げることを期待しています。
教授・山下 恒彦