SCENE

髙島 渚

担当教員によるコメント

髙島さんのデザイン群は完成度が高く、「すぐに製品になるのでは」という第一印象でした。ともすると自己主張の強い卒業制作の中で、使いやすそうだったからです。彼女は自身のコメントのなかで、「ありふれた、切り取られた風景描写の余白に、見る者の記憶の中にある“とあるシーン”をリンクしてほしい」と述べています。これは、「作品と見る者の関係性」を強く意識したテーマです。プリントデザインが難しいのは、然したるファンクションがあるわけではなく、全くエモーショナルなデザイン領域だからです。主観性の強い領域の中で、冷静に「使い勝手」というデザインの本質に迫っています。この余白は意識的であり「技巧」とも言えますが、作品群に感じる気品こそが彼女のデザイン性なのだと思います。

教授・髙橋 正