私欲植物

溝口 稜大

作者によるコメント

日々何気なく使うコンセントの2つの穴を覗いてみても、それがどこにどう繋がっているのかは分からない。日本で初めて復元されたエレキテルという静電気発生装置がふと植物のようにみえたことを発想源に、循環をキーワードにした照明を考えた。
太陽光発電には、植物の光合成に似た素敵さがある。にも関わらず、どれだけ効率的にエネルギーを生み出せるか、にしか焦点が当てられていないことに疑問を持った。植物のように、それぞれの地域の特性や、生活スタイルに合わせて、もっと多様に進化してもいいのではないか。このプロダクトは、利便性だけを考えると決して生まれることのないような、人の助けを前提として光る、植物のような照明群である。

担当教員によるコメント

溝口稜大くんの卒業研究は、植物の性質や成り立ちから形の気づきを得た提案である。溝口くんの提案は、アイテムとしては照明の範疇に入るだろうが、むしろ自然と人との結び付き、つながりをつくる新たな切り口となる存在になっている。光と水の雫を合わせた形をつくることで、人の目をそこに注視させ、日常の空間、日々の雑踏、そういうものから切り離す。植物から水が滴る現象を形づくることで、自然を顧みるゆっくりとした時間を生み出している。溝口くんは植物の性質や成り立ちから導くシナリオで、他にも照明作品をつくっており、モノのあり方を再考する必要のある昨今、モノ開発の新たな可能性としても有益性のある研究になっている。

教授・濱田 芳治

作品動画

  • 作品名
    私欲植物
  • 作家名
    溝口 稜大
  • 作品情報
    技法・素材:素材=太陽光パネル、LED、シリコン、ABS樹脂、ポリプロピレン、銅、アルミ/技法=真空成形、3Dプリント、レーザー加工、UV加工
    サイズ:1=H600×W95×D145mm、2=H1200×W60×D100mm、3=H60×W100×D100mm
  • 学科・専攻・コース