インクの硬化を固定に変換する研究

井出 大智

作者によるコメント

「巻く」「塗る」この誰もが行ったことがある原始的な行為によってひとつのプロダクトができています。連続的に素材が巻かれ続けることで積層を重ねて行き、上からインクを塗ることで連続する素材同士が一枚の布や紙のような面になり、単一の素材としては立体にならないインクとロープの二つの素材により新しい立体構造を持つプロダクトになっています。
言うなれば、現代の縄文土器です。

担当教員によるコメント

井出大智くんの卒制研究は、新しい材と材の接合の方法を提示している。一般的にモノを固着させる方法は、材料同士を接着剤で固めるが、井出くんのつくり出したのは、表面に塗布するインクを使って、材と材を一緒に固着させてしまうという方法。塗料と接着剤には、素材組成として同じ成分が使われているケースも多く、その点からもこの先の応用の可能性を感じる。接着ではなく、インクにより材料同士を強過ぎず固めることができれば、やり方によって、材料を痛めずに解体・分解し易い構造へも展開できる。これは今求められている循環型社会のものづくりとしても、有益な接合の方法だろう。プロトタイプを幾つもつくりながらアイデアを進展させてきた制作プロセスならではの成果だと思う。

教授・濱田 芳治

  • 作品名
    インクの硬化を固定に変換する研究
  • 作家名
    井出 大智
  • 作品情報
    技法・素材:布用インク、クリスタルジェルメディウム、ヤマトノリ、綿ロープ3mm
    作品形態:立体
    サイズ:Gray=H510xW510xD90mm、Beige=H380xW380xD170mm、Blue=H335xW335xD190mm、Red and orange=H230xW230xD350mm、Lilac=H60xW60xD360mm、Mint=H110xW135xD290mm
  • 学科・専攻・コース